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zoom RSS 福島大野 無罪報道 その1 産経新聞

<<   作成日時 : 2008/08/21 09:08   >>

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福島大野の件、判決でましたね。

「被告人を無罪とする」

 まあ、妥当な判決だとは思う。というより、当初から思っていたが、何でこの件で起訴したのかわからないな。この事例については以前のエントリー「医療崩壊の原因 その2 司法編4」で書いた。で、この判決を受けて、報道各社の反応です。まずは産経。


産経:無罪判決に産科医、身じろぎせず 遺族は涙 (1/2ページ)
2008.8.20 11:35

 福島県立大野病院事件の判決公判が開かれた福島地裁の法廷=20日午前10時(代表撮影) 手術中の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われた福島県大熊町の県立大野病院で発生した妊婦死亡事件。病院の調査委員会が報告書を作成し調査を終えた後の逮捕・起訴に医療界からは「通常の医療行為で逮捕されれば現場が萎縮(いしゅく)する」などと強い反発の声があがっていた。全国で産科医の不足や過酷な労働状況が指摘される中、福島地裁が下したのは、医師の裁量を認めた「無罪」判決。法廷内ではさまざまな感情が渦巻いた。

 午前10時過ぎにダークグレーのスーツを着て入廷した加藤被告。裁判官に向かって一礼をした後、傍聴席の被害者家族が座っている方向に向け、深く頭を下げた。

 鈴木信行裁判長に名前などを確認されている間は、緊張からか、せわしなく両手を動かしていたが、「無罪」の主文が言い渡されると、身じろぎせず聞き入った。

 加藤被告は女性が死亡した後も大野病院ただ一人の産婦人科医として勤務し、平成18年2月18日の逮捕時にも、約10人の入院患者と20〜30人の外来患者を抱えていた。妻も第一子の出産間近で、加藤被告は自分で子供を取り上げる予定だったという。

 しかし逮捕で状況は一変。妻の出産に立ち会えず、患者のケアも不可能になった。保釈後も現場に復帰せず、休職を続けていた。

 主任弁護人の平岩敬一弁護士は加藤被告の近況について「謹慎に近い状態で、医学博士の学位を取るために自宅で研究を続けていた」と話す。

 今年5月に開かれた最終弁論では、加藤被告は「もし再び医師として働けるなら、もう一度地域医療の一端を担いたい」と希望を述べていた。


 一方、被害者女性の家族もまた、「無罪」を言い渡した裁判官を見据えながら判決に聞き入った。女性の父親は、祈るような形で手を組み合わせたまま、唇をかみしめ、判決理由に耳を傾けた。

 女性の父親や夫は1月の意見陳述で「この事件で、閉鎖的だった医療界が国民の関心の的になった。事件が開かれた医療のあり方や臨床の実態を考えるきっかけになることを願う」と希望した。

 同時に、「幼くして母を失った子供を見るとふびんになる」「夜中、突然目が覚めるという状態が続いている」「わが家の生活から笑顔が事件以来、無くなってしまった」などと、事件後に家族の生活が様変わりした苦しみを吐露し、加藤被告に対して厳罰を望んでいた。

 判決の朗読が始まって5分ほど経った後、うつむいた父親が突然涙をこぼし始めた。感情を抑えられない様子で、ハンカチを取り出しては、涙を何度もぬぐっていた。



 原告の思いや生活などについての記事は多数見てきたが、加藤医師のことについて書かれた記事を始めて見た気がする。こういう記事をもっと早く見たかったな。今までの報道は「医師」という特殊な人を非難しているように思えたが、こう書くことで医師もまた人間だったということに気付くんじゃないのかな?
 この後、裁判では分が悪いと考えたのか、以下の記事が出た。


大野病院事件無罪判決 裁判以外の解決策を
2008.8.20 11:46

 薬剤の誤投与など明らかな医療ミスではない医療事故をめぐって医師の刑事責任が問われた大野病院事件で、20日の福島地裁判決は、医師の裁量を認め、無罪とした。医療行為の是非をめぐる刑事責任追及の難しさを改めて示したといえる。

 産科医の減少、相次ぐ産科の閉鎖…。事件は医師不足を加速させ、特に地域医療に深刻な打撃を与え、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 「通常の医療行為に刑事司法が不当に介入した。医療が萎縮(いしゅく)する」。医師の逮捕後、日本医学会など、100を超える医療関連団体も相次いで抗議声明を発表。困窮する実情を受け、医療界は、医師に病死以外の異状死の届け出を義務付けた医師法21条の見直しや、警察以外の第三者機関による死因究明制度の設置を国に要請した。

 国は、産科の人材や機能の集約化を打ち出し、医師に過失がなくても患者を補償する「無過失補償制度」の設置を決定するなど対応をとってきた。

 医療界は判決に胸をなでおろす結果になったが、今回の事故の遺族は「なぜ亡くなったのか」と、やりきれない気持ちを抱えたままだ。

 多くの医療事故の遺族は

、必ずしも負担の大きい裁判を起こさずに事故の真相を知りたいと考えている。


 昭和大学医学部の岡井崇教授は「刑事責任を問うことで、医療事故の再発防止や真相を究明することにはならない」と指摘する。

 国は、公平な立場で医療の専門家が事故を分析し、死因究明を行う国の新組織「医療安全調査委員会(仮称)」の創設を急いでいる。事件は刑事、民事を問わず、裁判での医療紛争解決の難しさを浮き彫りにした。裁判以外での患者と医療界の不信感を埋め、解決手法のあり方が求められる。(神庭芳久)



 さあて、どう見ましょうかね。「薬剤の誤投与など明らかな医療ミスではない医療事故」といいながら、「医療行為の是非をめぐる刑事責任追及の難しさを改めて示したといえる」といえるのが、新聞記者というものなのかね?「被告に問題がない」という可能性は皆無なんだな。
 それにしてもこの一段は気にくわない。

>医療界は判決に胸をなでおろす結果になったが、今回の事故の遺族は「なぜ亡くなったのか」と、やりきれない気持ちを抱えたままだ。

 多くの医療事故の遺族は
、必ずしも負担の大きい裁判を起こさずに事故の真相を知りたいと考えている。


 これじゃ、裁判は時間の無駄だよ。この長い裁判で一体何を見ていたのか?気に入らない判決だとやりきれないなら、最初から裁判などしなければよい。真相は語り尽くされたろうが。この公判記録を見て真相が明らかになってないと思えるのなら、どんな裁判やっても意味なんか無い。
 で、この後、裁判以外のことについて書かれている。例の医療事故調のことだな。

>事件は刑事、民事を問わず、裁判での医療紛争解決の難しさを浮き彫りにした。裁判以外での患者と医療界の不信感を埋め、解決手法のあり方が求められる。

 難しさって何?結論は出たじゃないの。「被告に問題なし」というのは気に入らないか?医療紛争解決というのは医療者が裁かれること(有罪になる事)ではないぞ。そこんところ勘違いしてないか。神庭芳久氏、紛争解決というのがどういうものか、今一度考えるべきだな。


帝王切開死亡事故で医師に無罪判決 「医療過誤なかった」  (1/2ページ)
2008.8.20 11:52

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われた。鈴木信行裁判長は、医療行為と患者死亡との因果関係を認めたうえで、措置自体は一般的な医療行為で過失はなかったなどと判断し、加藤被告に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。子宮に胎盤が強く癒着する「癒着胎盤」という珍しい症例に対し、胎盤を剥離(はくり)する行為を続けた医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽警察に届け出なかったことは医師法違反に該当するのか−などが争われていた。

 判決では、胎盤剥離開始後の大量出血の大部分は、子宮内壁の胎盤を剥離した部分からであり、被告の剥離行為と女性の死亡に因果関係があったと認定。大量出血自体も予見は可能だったとした。

 その上で、最大の争点だった、癒着胎盤と認識した後も剥離を継続した加藤被告の医療行為の是非については、検察側の「子宮摘出を行うべきだった」とする主張に対し、「一部の医学書や検察側証人の主張にすぎず、一般性を欠いている」と指摘。胎盤剥離を完了させて子宮の収縮を期待しながら、止血操作を行い、その後子宮を摘出した加藤被告の行為は「臨床上の標準的な医療措置」と認め、過失はなかったと判断した。

 医師法違反については、「診療中の患者が診療を受けている当該疾病で死亡した場合は(異状死の届け出義務の)要件を欠く」とし、「(今回は)癒着胎盤という疾病を原因とする過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果と言わざるをえず、異状に該当しない」と判断した。



 これは、裁判所の意見をそのまま書いただけだろう。それはいい。記者個人の考えなんてものを入れると、大体ろくでもないものになるからな。この裁判所の判断にちょっと疑問はある。

>胎盤剥離開始後の大量出血の大部分は、子宮内壁の胎盤を剥離した部分からであり、被告の剥離行為と女性の死亡に因果関係があったと認定。大量出血自体も予見は可能だったとした。

 なるほど、確かにそうかもしれない。では、胎盤を剥離しなければどうなった?胎児だけを取り出して、そのまま閉じるってか?それとも、子宮摘出だろうか?前者なら、早晩妊婦は亡くなっただろうし、後者の場合は妊婦は助かるかもしれないが、やはり訴訟だな。
 そもそも、こういうとらえ方がおかしい。癒着胎盤という極めて危険な状態の妊婦だったことが、死亡原因だろう。別に妊婦が悪い訳じゃないが、医療者が悪いわけでもない。強いて言うなら、運が悪かったとしか言えまい。病気ってものはそういうものだ。
 この後、被告医師の取った手法は、間違っていないと判決で言ってはいる。だったら、死亡との因果関係が最も高いとされるのは、「癒着胎盤」だろう。これがなければ、大量出血を見ることもなく、今頃、母子共に健康となっていたはずだ。
 判決が蛇足なのか、それとも記事が蛇足なのかは、判決文を見てからにしましょうか。

 この後、最後屁の様な記事が出た。


大野病院事件「妥当な判決」 日産婦学会が声明
2008.8.20 12:44

 大野病院事件の無罪判決を受け、声明を読み上げる日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長=20日正午、東京都文京区本郷 福島地裁の無罪判決を受け、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は20日昼、記者会見し「実地医療の困難さとリスクに理解を示した妥当な判決」と判決を評価。「控訴しないことを強く要請する」と、検察側に控訴断念を求めた。

 争点となった癒着胎盤について吉村理事長は「極めてまれな疾患であり、診断も難しく、最善の治療についての学術的議論は現在も学会で続けられている」とし、加藤克彦被告に対しては「専門医としていった医療の水準は高く、まったく医療過誤と言うべきものではない」と、同学会の声明を読み上げた。

 同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」と訴えた。



 まあ、日本産科婦人科学会としては、当たり前の発表です。主張に沿った判決なのだから、これ以上の言葉はないでしょう。最も、産経のねらいはそこではなく、「検察の控訴断念を求めた」という件だろう。最後にこのような記事を書くことで、医師(というより医師会or産婦人科学会)に対するネガティブなイメージをすり込もうというわけだ。

産経 必死だな


 長くなりそうなので、とりあえず、産経だけ。後はまた。

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