奈良県発 差別者は誰だ?

 今日は奈良のこと。脳性麻痺を持つ少女が地元の中学に行けないことが問題視されているよう。ま、気分としてはわからんではないが、この一件については障害者サイドが引くべき所だろうな。また、こういう行動はそれこそ障害者のためにならん。一歩引いてゆっくりと全体を眺めてみるのが、両親に科せられた役割かとも思う。

読売:奈良・下市、入学拒否訴訟…12歳少女、学ぶ場は
15日地裁で協議、財政難の町「養護学校に」
全国から激励 「設備の不備は差別」
 バリアフリーが整っていないことなどを理由に、希望する奈良県下市町立下市中への入学を拒否された、脳性マヒで車いす生活を送る少女(12)は、同中の入学式から2か月が過ぎた今も、県立養護学校から派遣された女性講師(23)と自宅で1人学習を続けている。町に入学許可を求めた訴訟は、原告代理人によると、地裁は和解を勧め、15日に話し合いの場を持つという。その一方で、同町は訴訟費用として約80万円を予算化。法廷で争う構えもみせている。

(川本和義 田畑清二)

(写真)
マンツーマンの授業を受ける少女。笑顔も見せるが、「中学校でみんなと授業を受けたい」と話す(下市町で)自宅学習3か月目

 「さわやかな6月のある午後……」。少女は、講師の前で、「赤毛のアン」の文章をすらすらと唱えた。200ページを超える本1冊を暗記しているという。「得意科目は国語。数学は苦手」と笑った。講師は「記憶力は抜群」と話す。

 4月中旬から講師の授業を1人で受ける。自宅には「一日も早い中学校生活を願っています」「頑張って希望をかなえて」など励ましの手紙が九州や関東などから数十通送られてきた。

北海道の市議陳情

 今月4日には、少女同様に車いす生活を送る北海道北見市の田中稔浩市議(36)が同町を訪問し、町議会に入学拒否の是正と中学生活に必要な施設整備を求める陳情書を提出した。田中市議は「設備の不備を理由に就学を認めないのは障害を理由とした差別」と憤る。

 一方、町は「財政面などから施設整備は困難」という。そのうえ、同校は校舎が斜面に建てられ階段が多く、運動場までは数百メートル移動しなければならないため、「少女のことを考えると、県立養護学校に通うのがいい」という姿勢を崩さない。

 11日開会の町議会では、北見市の田中市議の陳情書を「慎重審議が必要」として、委員会付託を先送り。議員の半数以上は町を支持する。ある町議は「少女の願いをかなえてやりたいが、下市中での学校生活は無理な気がする」と話す。


多い階段「大丈夫」

 訴訟では、地裁の担当裁判官らが2日、同中を視察した。少女や両親も立ち会い、階段の多さについて「大丈夫と思います」と答えたという。

 地裁が勧める和解について、少女の母親は「和解で下市中へ入学できればこの上ない幸せ」と歓迎する。これに対し、同町教委幹部は「話し合いには応じるが、内容次第。このままの状態で入学を認めるような和解案なら敗訴と同じ。裁判で決着を求める」と語る。

 また、県教委は、この問題について「例外を作れない」と施設整備などの財政負担はしない考えを示す。「少女側と町教委が話し合って解決してほしい」と静観の構えだ。


「みなと一緒」心待ち

 少女は、中学校へ行けないさみしさから落ち込んだ時もあったが、最近は明るく振る舞い、笑い声も増えているという。小学校の同級生と一緒に授業を受けることを心待ちにし、「違う小学校の人も下市中には多いので、新しい友だちを作りたい」と夢を膨らませる。


下市中入学拒否訴訟

 少女は出生時の脳性マヒで下半身や右腕などが不自由だったが、下市町立阿知賀小では、町から派遣された介助員2人が付き添い、特別担任の元で学校生活を送り、今春、卒業した。町立下市中への進学を希望したが、町教委は拒否。県立養護学校への入学を勧められたため、少女側は4月、町を相手に「設備が整わないことなどを理由に入学を認めないのは違法」と入学許可を求める行政訴訟を提訴した。

(2009年6月13日 読売新聞)



 記事を読んでみていろいろ思うことはある。順に見ていきます。

>町に入学許可を求めた訴訟は、原告代理人によると、地裁は和解を勧め、15日に話し合いの場を持つという。

 もう、この時点で勝負がついているように思える。地裁が和解を勧めるからには法曹の考える「弱者救済」が困難と判断したのだろう。法律家というのは何故か「弱者救済」を至上命題にしている人が多い。法の元に正義の審判することよりは、「弱者救済」を優先することがまま見られる。その裁判所(ましてや地裁だ)が「和解」を勧めるからには、この学校・地域ではどうしようもないと判断したのだろう。

>その一方で、同町は訴訟費用として約80万円を予算化。法廷で争う構えもみせている。

 町としては一歩も引かない覚悟ですな。少ない予算の中から、この費用を捻出するのは大変だったろう。何が削られたのか知りたいところだ。そこまでしてもこういう前例を作ることを良しとしないということだろう。まあ、財政面を見てもしかたないかと思う。まさか、この児童と市政(町政か?)が心中するわけにもいくまい。まして、両親が求めるものが県内にあるのだから、そこを推すのが当然といえる。また、こういう予算を組めること自体、町の立場が町民に理解されるという確信もあるのだろう。
 で、この子が希望しているのは、地元の中学で、外部の写真を見る限り「こりゃ無理だわ」という感じの立地だったな(なんでこの学校の写真を載せないんだ?読売新聞)。まず、道路から学校まで高低差が20mほど有り、階段を使って通学するようだ。これは災害対策らしい。山間の村なので水等が出たときの避難場所にもなる。それ故、高地に作られているようだ。
 スロープを作るなら、100m位にはなるか。ものすごい敷地が必要だな。それ以外なら階段用のリフトを付けることか。それにしても本格的な手入れがいる。また、校舎にしても階段が多く、渡り廊下などもあり、車いすの移動にはかなりの困難がつきまとうようだ(もちろん、工事すれば大丈夫なんだろうが、お金がね・・・・・)。
 工事をしないなら、人を付けるしかない。が、どうもこの両親、自腹を切るのはいやな様子。かといって自分が率先してするという気配もない。「子供の世話は学校に丸投げ」って感じが透けて見えて、どうも支持できないんだよなあ。

 さて、町が推している養護学校はおそらくここ(何故か読売は書いてないけど)。

奈良県立 明日香養護学校

 生徒数は50名程度。教職員は教師55名(看護資格保有者あり)、事務長・スクールバス介助要員他23名、学校医他7名、計85名だ。かなりの充実ぶりを見せていると思う。訪問教育もしてる。この教師がこの子の自宅に行ってると思われる。ただ、これも異例といえるな。本来、通学が困難な児童に対して行われるものだろうから。
 これほどの充実ぶりを見せる養護学校に何故行きたくないのか、よくわからん。普通校よりも充実した介護も受けられるし、メディケア・生活訓練を考えるなら選択の余地など無い。私の調べた限りでは、この時期のトレーニングはこれからの生活(生きていく)上、大切なようだ(二次障害というのが大変みたいだ)。また、そのトレーニングもやり過ぎてもダメだし、やらないのもダメらしい。と来たら、専門家によるサポートが必要だろう。となれば、「この子のため」にはこの学校が一番いいと考える町の判断は間違ってない。

>4月中旬から講師の授業を1人で受ける。自宅には「一日も早い中学校生活を願っています」「頑張って希望をかなえて」など励ましの手紙が九州や関東などから数十通送られてきた。

 さて、ここで問題です。

地元の声はどうした?

普通に考えれば、こういう障害者が生活する上で地元民のサポートが必須なはずだが、なぜその声を載せないんだ?これがすべてのような気がする。もはや地元のサポートが期待できないのだろうか?

>今月4日には、少女同様に車いす生活を送る北海道北見市の田中稔浩市議(36)が同町を訪問し、町議会に入学拒否の是正と中学生活に必要な施設整備を求める陳情書を提出した。

 よそのことにしゃしゃり出るな。北見とは予算規模が全く違う。北見は歳入合計607億円、下市町は40億程度。この規模の違いは無視できんな。大体、北見だってバリアフリーをうたうからには、まだまだ不十分だって事だ。よそに口出しする前に、自分のところをきちんとしてから言え。それに北見にも道の障害者施設があるじゃないの。それを無くしてからいいな。ほんとに民主って言うのはこういう口先だけのヤカラが多すぎる。

>田中市議は「設備の不備を理由に就学を認めないのは障害を理由とした差別」と憤る

 そう思うなら、北見にある道の施設を排除しな。話はそれからだ。

>一方、町は「財政面などから施設整備は困難」という。そのうえ、同校は校舎が斜面に建てられ階段が多く、運動場までは数百メートル移動しなければならないため、「少女のことを考えると、県立養護学校に通うのがいい」という姿勢を崩さない。

 この町の見解は理解できる。この児童のことを考えるなら当然だと思う。

>11日開会の町議会では、北見市の田中市議の陳情書を「慎重審議が必要」として、委員会付託を先送り。議員の半数以上は町を支持する。

 ふ~ん。半数以上ね・・・・・。町を支持しない人は何人なのかはっきり書けば。

>ある町議は「少女の願いをかなえてやりたいが、下市中での学校生活は無理な気がする」と話す。

 まあ、まともな意見だな。なぜ、両親に肩入れする議員の声を記事にしないんだ?読売新聞。半数以上が町を支持とはいえ、何人かは町に反対してるんだろ?ま、賛成していないだけで、反対もしないという人かもしれんが。

>訴訟では、地裁の担当裁判官らが2日、同中を視察した。少女や両親も立ち会い、階段の多さについて「大丈夫と思います」と答えたという。

 何が大丈夫なのだろう?自力で通学可能と言うことか?そうじゃないだろうな。誰かが介助すれば大丈夫という意味だろう。もっとも、その誰かを両親は用意する気はないようだが。
 ここで大事なのはこの検分に裁判官が立ち会ったということ。

>地裁が勧める和解について、少女の母親は「和解で下市中へ入学できればこの上ない幸せ」と歓迎する。

 和解案の内容がまだ知らされてないと言うことだな。ただ、上にも書いたように、この手の和解提案は、原告に不利になることが予想されるとき、提案されることが多いように思う。この母親がのぞむような形の和解提案は行われないだろう。

>これに対し、同町教委幹部は「話し合いには応じるが、内容次第。このままの状態で入学を認めるような和解案なら敗訴と同じ。裁判で決着を求める」と語る。

 ま、町としては当然の答え。一歩も引くわけにはいかないのだろう。先手を打って予算計上するあたり、町の覚悟のほどがうかがえる。

>また、県教委は、この問題について「例外を作れない」と施設整備などの財政負担はしない考えを示す。「少女側と町教委が話し合って解決してほしい」と静観の構えだ。

 県としては、「こんなのにつきあってられっか。いそしいんじゃ、県は」ということだろう。県からの財政負担がない以上、町は引くわけにはいかんな。

 と、こういう話になると時折、「時間がかかればかかるほど町が不利」「お金の問題で町の負け」という声が聞こえる。しかし、その思惑は外れるだろう。この両親の思惑通りに進んでも、町は財政的にかなり苦しくなる。あげくに財政再建団体扱いになろうものなら、目も当てられん。最も、そうなったらなったで、この家族の動向は見物だと思うがね。
 座して死を待つよりは打って出ることを決意した町の判断は正しいだろう。後は法律家がどういう判断を下すかだけだな。

 では、下市町での課題を以下にいくつか挙げてみる。
1.中学校のバリアフリー化
2.中学校の耐震工事
3.上水道の整備
4.下水道の整備

他にもたくさん課題はあると思う。これらの課題の中で最優先するのがなんなのか。

バリアフリーの中学校に通って、地震で下敷きになるというのは正しいのか?
井戸水で中毒を起こすのは正しいのか?
生活排水により汚染された河川は正しいのか?

私は、こういう状況ならばライフラインの整備が最優先だと思う。それこそ生命にかかわることだ。それが整備された上での事なら、考えてもいいかもしれん。
 下市町ではとてもじゃないが、バリアフリーを最優先というわけにはいかんだろう。どうせバリアフリーを考えるなら、学校よりも役場や集会場のバリアフリー化が先だろうな。老人人口の多そうな所だ。一人の学生のためよりは、多くの老人のために行われるべきだと思う。

 さて、ここまで、町と両親について書いたわけだが、ちょっと、この児童についても考えてみた。
 彼女がこのまま、下市中学に進んだ場合、どうやっても介助から逃れることはできず、3年間の間、ずっと介助され続けることになる。それが彼女の生きる力となるだろうか?私は疑問だ。もちろん、その他生徒への影響もある。福祉精神の向上も結構だが、そんなもん押しつけられてするもんじゃない。

健常者は奴隷じゃないし、障害者も教材ではない。

どちらも人間だ。健常者の福祉精神も結構だが、障害者の福祉精神も育てなけりゃひずみが大きくなるだけだろう。
 そういう意味では、擁護学校はいいと思う。普通学校と違い様々な障害者がいる。もちろん、見た目では健常者と何ら変わらない人もいるだろう。知的にも問題ない人もいるだろう。しかし、それぞれが様々な障害を背負っている。

彼女がAはできるが、Bはできない。
彼はAはできないが、Bはできる。


こういう中でいれば、お互いがお互いを支え合う、「助け合い」という意味がわかるんじゃないの?「自分はAができるけど、Bができない。彼は逆だから、お互いのできない部分を助け合って行けばいい」と、考えることができるようになるのもいいことだと思うが。そして、こういう生活を通して「互助」の精神を体現できるものと考える。一方的に助けてもらってもそういう精神は育まれまい。また、こういう生活をすることで、小学校時代に助けてくれた友達の思いというものに、気がつくんじゃないだろうか?

 また、健常者と障害者の共生という意味で、こういう人を普通学校に入れようという人もいるが、そんなもんは交流事業で充分だろう。全国の小中学校、いや、ありとあらゆる公共物のバリアフリーができてからなら、それもいい。今のところバリアフリーどころか、耐震化もなされていない建物も多い。優先順位としては、耐震化の方が先だろう。も一つ言うと、こういう環境を整えるなら、税金は今の比はないね。バリアフリーを実現するにゃいっぱいお金がいるんだから、しかたないけど。それをふまえて、世間に問わないとねえ。そのコストを社会が負担できるかどうかが肝だろう。

 親はどんなに子供を守ろうとしても、先に死ぬ。これは避けては通れない。ならば、親がいなくても、生活できるように、みんなとうまくやっていけるように導いてやるのもまた、親のつとめだ。そういう意味では、この親の意見には全く同意できない。ADA等の知識を詰め込まれて、権利権利と騒いでいるんだろうが、底が浅い。周囲の環境・状況を考えることができないくらいの視野狭窄。こんな状況で賛同者が出るわけもない。出てくる賛同者は、直接支援するのとは関係のない遠方の人たちばかりだ。ま、こう言うのは、いつも、どこからとも無くわいてくるんだけどね。
 今までの例を見る限り、

 差別と騒ぐ奴らは、最も差別的は思考を持ってる

というの、地で見せてもらってる感じだ。

両親はともかく
 裁判所には是非ともこの子の将来を考えてもらいたい。

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この記事へのコメント

小川 靖則
2009年06月17日 06:03
「障害者とその親はまず皆にお世話になっている」
と感謝の気持ちから、思考すべきではないだろうか。
権利だけ振り回すと膨大な費用を納税している人の支持を失う。
生王
2009年07月06日 13:51
仰ること、まことにごもっともです。
養護学校に行くことを勧めることが、差別になると考える者こそ元凶ですね。
この家族、当事者の女子中学生も含めて、養護学校に通う子供達を差別しているとしか思えません。
嘆かわしいことです。
XL
2009年07月06日 18:34
生王様 コメントありがとうございます。
私もそう思います。彼らの言い分も分からないこともないんですが、いかんせん性急すぎる。こういう事を繰り返すならば、国の障害者支援策は方向転換を強いられるかもしれません。
なんで、このことに気付かないんだろう?

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