奈良障害者訴訟 学校教育法施行令 +学校教育法(ちょっとだけ)

 奈良の子は今日から通学ですな。さて、今日は学校教育法施行令について。今回の場合、適応されると思われる条文について考えてみる。
 まず、挙げられるのは、

学校教育施行令
第2節 小学校、中学校及び中等教育学校
(入学期日等の通知、学校の指定)
第5条 市町村の教育委員会は、就学予定者(法第17条第1項又は第2項の規定により、翌学年の初めから小学校、中学校、中等教育学校又は特別支援学校に就学させるべき者をいう。以下同じ。)で次に掲げる者について、その保護者に対し、翌学年の初めから2月前までに、小学校又は中学校の入学期日を通知しなければならない。

1.就学予定者のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で、その障害が、第22条の3の表に規定する程度のもの(以下「視覚障害者等」という。)以外の者
2.視覚障害者等のうち、市町村の教育委員会が、その者の障害の状態に照らして、当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)


2 市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する小学校又は中学校(法第71条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。以下この項、次条第7号、第6条の3、第6条の4、第7条、第8条、第11条の2、第12条第3項及び第12条の2において同じ。)が2校以上ある場合においては、前項の通知において当該就学予定者の就学すべき小学校又は中学校を指定しなければならない。

3 前2項の規定は、第9条第1項の届出のあつた就学予定者については、適用しない。


さて、ここで書かれているのは、「市町村」の教育委員会の仕事だ。つまり、市町村の権限の及ぶ学校への入学措置について書かれている。で、この就学予定者なんだけど、ここにはこう書かれている。

>1.就学予定者のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で、その障害が、第22条の3の表に規定する程度のもの(以下「視覚障害者等」という。)以外の者

まあ、簡単に言えば、健常者および軽度の障害者のみを地元の小中学校に入れろってことだな。この障害の規定の22条の3は以下(肢体障害者のみ抜粋)。

第22条の3 法第75条の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。
(略)
肢体不自由者
1.肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
2.肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
(略)


ここで、この子は

>1.肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの

に該当しないか?私はそのように見えるけど。通学・下校さえ介助者を常に必要としていること自体、これに該当すると思われる。
 しかし、これに該当しても、普通校へ入学できる手法もある。それが、5条の2。

>2.視覚障害者等のうち、市町村の教育委員会が、その者の障害の状態に照らして、当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)

この認定就学者となれば、普通校に通える訳なんだけど、ここで大事なのは

当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者

ってこと。階段・斜面が多い下市中学でこの子が適切な教育を受けられる特別の事情があればいいわけだ。これをクリアする(誤魔化す)手法としては、両親が常時付き添うことで、「両親(介護者)と就学予定者が一体である」みたいな方法がとれるかな。まあ、言ってしまえばズルなんだけど、そのくらいのお目こぼしなら「法の精神」として理解できないこともない。これを町にさせてたんじゃあ、このごまかしは使えないな。
 また、この条文にもあるように、判断するのは教育委員会だ。小学校時代に両親の学校へ対する態度なんかも、評価のうちだろうねえ。この時、しっかり両親が学校(町)に協力する姿勢を見せてたら、あっさり通った可能性すらある。自業自得としか言えない。

なお、6条にはこういう規定もある。

第6条の2 特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒で視覚障害者等でなくなつたものがあるときは、当該学齢児童又は学齢生徒の在学する特別支援学校の校長は、速やかに、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する都道府県の教育委員会に対し、その旨を通知しなければならない。
2 都道府県の教育委員会は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に射し、速やかに、その氏名及び視覚障害者等でなくなつた旨を通知しなければならない。

第6条の3 特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒でその障害の状態の変化により認定就学者として小学校又は中学校に就学することが適当であると思料するものがあるときは、当該学齢児童又は学齢生徒の在学する特別支援学校の校長は、速やかに、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する都道府県の教育委員会に対し、その旨を通知しなければならない。
2 都道府県の教育委員会は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に対し、速やかに、その氏名及び同項の通知があった旨を通知しなければならない。
3 市町村の教育委員会は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について、認定就学者として小学校又は中学校に就学させることが適当でないと認めたときは、都道府県の教育委員会に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
4 都道府県の教育委員会は、前項の通知を受けたときは、第1項の校長に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
 
第6条の4 学齢児童及び学齢生徒のうち視覚障害者等で認定就学者として小学校又は中学校に在学するもののうち視覚障害者等でなくなつたものがあるときは、その在学する小学校又は中学校の校長は、速やかに、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に対し、その旨を通知しなければならない。


 これによれば、教育委員会の判断に不服があるなら、支援校に行ってここに書かれている判断を受けることができる。まあ、それをやっちゃあ、下市中学への就学認定はでないんだろうけど。
 また、12条にこのような表記もある。

第12条 小学校、中学校又は中等教育学校に在学する学齢児童又は学齢生徒で視覚障害者等になつたものがあるときは、当該学齢児童又は学齢生徒の在学する小学校、中学校又は中等教育学校の校長は、速やかに、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に対し、その旨を通知しなければならない。
2 第11条の規定は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について準用する。この場合において、同条中「翌学年の初めから3月前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。
3 第1項の規定による通知を受けた市町村の教育委員会は、前項において準用する第11条ただし書の規定により認定就学者として小学校又は中学校に就学させることが適当であると認めるものについて現に在学する小学校又は中学校に引き続き就学させるときは、第1項の校長に対し、その旨を通知しなければならない。
 
第12条の2 学齢児童及び学齢生徒のうち視覚障害者等で認定就学者として小学校又は中学校に在学するもののうち障害の状態の変化によりこれらの小学校又は中学校に就学させることが適当でなくなつたと思料するものがあるときは、当該学齢児童又は学齢生徒の在学する小学校又は中学校の校長は、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
2 第11条の規定は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について準用する。この場合において、同条第1項中「翌学年の初めから3月前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。
3 第1項の規定による通知を受けた市町村の教育委員会は、前項において準用する第11条ただし書の規定により認定就学者として小学校又は中学校に就学させることが適当であると認めるものについて現に在学する小学校又は中学校に引き続き就学させるときは、第1項の校長に対し、その旨を通知しなければならない。


 この子の小学校時代、どのような形で通学してたのか分からないけど、認定を受けていない場合は12条、認定を受けていた場合は12条の2で、対処するべきだったのかもしれん。介助要員の増員・通学下校の介助を求められた時点で、支援校への転校を指示すべきだった(これをもって障害の状態の変化と言っていいと思う)。さすれば、この両親もちっとは町への協力を考えたかもしれない。
 まあ、小さい町の人だから、かわいそうな女の子に格別の厚情を示したとも言える。

しっかり、恩を仇で返されたけど。両親に

 で、この支援校への指示なんだけど、それにはこういう規定がある。

第3節の2 保護者及び視覚障害者等の就学に関する専門的知識を有する者の意見聴取
 
第18条の2 市町村の教育委員会は、翌学年の初めから認定就学者として小学校に就学させるべき者又は特別支援学校の小学部に就学させるべき者について、第5条(第6条第1号において準用する場合を含む。)又は第11条第1項(第11条の3において準用する場合を含む。)の通知をしようとするときは、その保護者及び教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒等の就学に関する専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。


 町は当然、この規定をふまえて、医師等に確認はしたはずだ。この関係者すべてがOK出してるのに、教育委員会独断で判断したわけではないだろう。むしろ、独断なのは両親だけで、後の関係者はすべて支援校を推していた可能性すらある。だからこそ、どこからも擁護の声があがらないと思われる。また、教育委員会の暴走なら、マスゴミが報道しないはずもない。その報道(その他関係者の証言等)がないこと自体、教育委員会の判断・手法は適正だったことの証左ではないか?

 ついでだ。学校教育法には、こういう規定もある。

学校教育法
第35条 市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。
1.他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
2.職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
3.施設又は設備を損壊する行為
4.授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
2 市町村の教育委員会は、前項の規定により出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
3 前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。
4 市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。


 教員や生徒に介助を強制した場合、この1.2.4.に該当する可能性がある。教育委員会は厳正に対処すべきだと思う。
 もちろん、町が介助要員を用意する根拠はない。なぜなら、通学できるからには

学校教育法施行令第22条の3
(略)
肢体不自由者
1.肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの


にこの生徒は該当しないからだ。両親が付き添うか、介助要員を自前で用意するしかない。教育委員会の認定が受けられない以上、健常者と同じ扱いになるのはしかたない。

 こんな事書いてる自分がいやになる。まるであの子を苛めてるみたいだ。もっと大きな都市で、平地の学校なら応援も出来たかなあ?

 2chで気になる書き込みを見た。以下です。

864 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/07/03(金) 00:51:32 ID:/71r2OU/O
 普通学級に通学するのが、物理的に困難な障害児の入学をゴリ押しする親や人のニュースを見るたびに、以前に見たドキュメンタリーを思い出す。

 サリドマイド児の親のドキュメンタリーだったのだが。生まれついて重い障害を負って生まれた息子の為に、親は「サリドマイド児の親の会」を立ち上げて、休日は全て会の活動。「障害者に理解のある社会=息子の為」との強い信念のもと、息子を連れて積極的にマスコミにも出たり、講演活動も行った。さらに、息子を普通学級に進学させた。息子は重い障害を負いながらも大学に進学。一時は、マスコミにもてはやされた。

 が、大学卒業後、障害を負った息子は何処にも就職できなかった。ここで、息子は生まれて初めて本音をぶっちゃける。

「子供の頃から、人前でさらし者にされて辛かった」
「休みの日くらい、家族だけで過ごしたかった。家族だけで遊園地や旅行に行きたかったのに」
「普通学級になんて行きたくなかった。手の無い俺が、普通学級でどれだけ不自由で辛く、孤独だったか。どれだけ、危険で屈辱的(同級生による排泄介護等)な思いをしたか!」


と、延々と恨み言を言い出した。

で、親が「何で言ってくれなかったんだ!」と反論したら

「言ったが、全て“お前のためだ”で済まされた。一度だけ、同じ障害を持つ子供たちがいる養護学校に行きたいと言ったら“負けるな”と説教された」
「俺みたいな障害を持った子供が、親に見捨てられたら生きていけない。だから、言いなりになっていた」
「お前たちは“俺の為”と言っていたが、結局は自分たちが社会から注目されてチヤホヤされたかったダケだろう。養護学校に進学した同じ障害を持った連中は、職業訓練を受けて就職して自立しているのに、親の見栄で、普通学級に進学させられた俺は、就職できなかった」
「俺の障害を受け入れてくれない、見栄っぱりな親のせいで、俺の人生はメチャクチャにさせられた!」


 結局、息子さんは親に対する恨みつらみの遺書を残して自殺。最後に親御さんは

「もっと息子の気持ちを考えてやれば良かった」
「健常児と同じようにする事が、息子の為だと思っていたが、間違いだった」


と嘆いていたな。

奈良や北海道の子が、十年後にこんなふうにならなきゃいいけど。



 この話が実話かどうか私は知らない。ただ、十分にあり得ることだとも思う。結局、今回の訴訟に両親が勝っても、それがこの子の幸福につながるかどうかはわからない。

両親の「勝った」という達成感以外に何が残るのか?

きちんとした対応の出来ない普通校に通って、将来に禍根を残すことになったらと思うと、不憫でならない。こういう対応(訴訟)を取ったことで、周囲との協調はむずかしくなったように思う。「絶対無理」ではないと思うけど、茨の道だな。周囲の理解と協力こそが大事なのに、溝ばかり作ってどうする?

この子と地域の関係改善を祈ります。
                      ・・・・・両親は知らん。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 肢体不自由動作法

    Excerpt: 肢体不自由動作法 Weblog: 忍者大好きいななさむ書房 racked: 2009-08-13 05:11