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zoom RSS 福島大野 無罪報道 その4 読売新聞

<<   作成日時 : 2008/08/21 09:46   >>

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 さて、殿は読売です。

読売:帝王切開で29歳失血死、医師に無罪判決…福島地裁
 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。

 鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。

 判決によると、加藤被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。

 鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。

 だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。

 検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。

 産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、加藤被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。

(2008年8月20日13時59分 読売新聞)



 まあ、マスコミテイストな記事です。記事の流れや端々にその傾向が見られる。

>「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。

 先にも書いたが、「用手剥離が困難なら大量出血の可能性」か。確かに可能性というなら「0(ゼロ)」ではないわな。文系の考える「十中八九」と理系の考える「80〜90%」という意味合いに違いがあるように、可能性については否定しないよ。でもね、小数点以下の可能性すら考慮する義務があると言うなら、おそらく医療は回らないよ。ものすごい量の検査とものすごい事前準備が要求されることになるから。そんなことできないような医療費水準なのだから、どうしようもあるまい。少なくとも現場の医師が何とかできるような事ではない。
 もちろん、裁判官はそこんところをわかっているのか、被告医師の行動については「過失なし」という判断をしている。
 また、毎日Hentai新聞の所でもかいた「医師法21条」の件がかいてある。

>女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった

 裁判長はわかってるんだな。死亡原因が医師のせいではなく、病気によるものだと言うことが。それ故、無罪というわけだ。
 記事としては、まあ、まともな部類にはいるのでしょうが、それでも引っかかりを感じる。その15分後、以下の記事が出る。


「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り
 産科医不足を加速させたとして医療界が注目した「大野病院事件」に、無罪の司法判断が下った。

 帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に対する20日の福島地裁判決。

 加藤医師は落ち着いた表情で判決を聞き、傍聴席の最前列に座った遺族は顔をこわばらせ、無念さをにじませた。

 加藤医師は、白のワイシャツにグレーのスーツ姿で一礼して入廷し、直立不動で言い渡しを待った。

 「被告人を無罪とする」。主文が読み上げられた瞬間は、冷静な表情のまま、わずかに頭を下げた。

 判決理由の中で、帝王切開手術を再現し、経緯を検証する部分では、うっすらと浮かんだ涙をハンカチでふいた。後方に座っていた弁護士に顔をのぞき込まれ、声をかけられると、大丈夫というようにうなずき、冷静な表情に戻った。

 一方、亡くなった女性の父親、渡辺好男さん(58)は、最前列で傍聴した。主文読み上げの瞬間、驚いたような表情で鈴木信行裁判長を見上げた後、厳しい視線を加藤医師に投げかけた。

 加藤医師は、約2時間20分にわたった言い渡しの後、傍聴席の遺族の方を向き、深々と頭を下げた。

 渡辺さんは判決前、「なぜ事故が起きたのか、なぜ防げなかったのか。公判でも結局、何が真実かはわからないままだ」と話した。

 あの日、妻(55)から「生まれたよ」と連絡を受けて病院に向かった。ハンドルを握りながら、娘に「もうすぐクリスマスとお正月。二重三重の幸せだな」と声をかけようと考えていた。

 病院に着くと悲報を聞かされた。1か月前、左足を縫うけがをした渡辺さんを、「体は大事にしなよ」と気遣ってくれた娘だった。

 帝王切開で生まれた女の子と対面した娘は、「ちっちゃい手だね」とつぶやいたという。これが最期の言葉になった。娘の長男が「お母さん起きて。サンタさんが来ないよ」と泣き叫んだ姿が脳裏から離れない。

 「警察に動いてほしかった」と思っていた時、加藤医師が逮捕された。

 「何が起きたのかを知りたい」という思いで、2007年1月から08年5月まで14回の公判を欠かさず傍聴した。証人として法廷にも立ち、「とにかく真実を知りたい」と訴えた。「大野病院でなければ、亡くさずにすんだ命」と思える。公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされたような思いがある。

(2008年8月20日14時14分 読売新聞)



 さて、患者サイドに偏った記事です。まずタイトルからして

「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り

ですから、後は推して知るべし。

>渡辺さんは判決前、「なぜ事故が起きたのか、なぜ防げなかったのか。公判でも結局、何が真実かはわからないままだ」と話した。

 一体この人は、裁判の中で何を見てきたのだ?自分でも調べたのだそうだから、「癒着胎盤」が如何に恐ろしい病気かと言うことは理解できているはずだ。

>「警察に動いてほしかった」と思っていた時、加藤医師が逮捕された。

 これ、ちょっと気になるな。だれが告発したんだろう?県の事故調から警察へリークでもあったのだろうか?そういえば、今まで告発があったということを聞いていないような気がする。県警が捜査したのはだれが情報を出したのだろうか?不思議だな?
 で、この後、いつものような感情移入記事が続き、最後の段になる。

>「何が起きたのかを知りたい」という思いで、2007年1月から08年5月まで14回の公判を欠かさず傍聴した。証人として法廷にも立ち、「とにかく真実を知りたい」と訴えた。「大野病院でなければ、亡くさずにすんだ命」と思える。公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされたような思いがある。

 あれだけ、証拠調べをされて、徹底的に議論されたはずなのに、「真実が知りたい」ですか・・・。娘さんを亡くされて無念はわからなくもないが、それを医師に向けちゃあいけないよ。それこそ、命がけで子供を産んだ娘さんが悲しむだろう。
 また、「大野病院でなければ・・・」の件があるが、自分で勉強したんでしょ。もっと、ちゃんと調べようよ。「癒着胎盤」は極めて危険な病気だよ。それに前置胎盤でもあったのだから、一昔前なら母子ともに死亡でどうしようもなかったものです。それが医学の進歩で、徐々に助けるための手段は講じられるようになった。それでも、リスクは「0(ゼロ)」にはならない(というより未だ高い水準のリスクがある)。専門書にもそう書いてあるはずだ。

 しかし、記者も卑劣だね。こういう記事の書き方をするんだ。あくまでも原告の意見という形で、医師批判をするあたり「マスコミ脳」の本領発揮と言うところか。
 この24分後、原告の生活・意見を入れたからには、被告の生活・意見を載せるかと思いきや、何故か載せたのは「被告側」。バランスを失しているように思えるのは気のせいではないだろう。


医療界挙げて被告の医師支援…帝王切開死判決
 帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に20日、無罪を言い渡した福島地裁判決──今回の公判では、産科の臨床医の権威が弁護側証人として出廷するなど、医療界挙げて被告を支援する形になった。

 背景には、1999年に東京都内の病院で起きた点滴ミス隠し事件などを契機に広がった医療不信の中で、難症例を扱った医師が逮捕され、深刻な医師不足を招いている現状への危機感がある。

 医療不信の広がりは、横浜市大病院で2人の患者を取り違えて手術した事件と、都立広尾病院で誤って主婦に消毒液を点滴して死亡させ、ミスを隠そうとした事件が99年に相次いで起きたことが契機になった。

 以後、遺族の処罰感情などを背景に捜査機関が医師個人の責任を問うケースが急増。2002年には東京慈恵医科大付属青戸病院で、経験のない医師3人が難度の高い腹腔(ふくくう)鏡下手術を行って患者を死亡させる事件も起きた。警察庁によると、警察から検察への送致件数は、99年の10件から00年は24件に増え、06年には98件になった。

 捜査とは別に、厚生労働省は05年9月、病理解剖学などの医療関係者と法律家で構成される医療版「事故調査委員会」を4都府県でスタートさせた。

 こうした状況の中、06年2月に加藤克彦医師が逮捕された。その直後から日本産科婦人科学会など100近い団体が抗議声明を出したのは、「わが国の刑事裁判史上かつてない」(弁護側)状況だった。

 事件で問われたのは、女性の胎盤に対する処置。女性は胎盤が通常より低い位置にある「前置胎盤」で、産道につながる子宮口を完全に覆っていた。さらに「癒着胎盤」を起こし、胎盤を無理にはがすと大量出血する恐れがあった。癒着胎盤の処置を巡り、公判では「子宮摘出に移るべきだった」とする検察側と、「最後まではがすのが標準的な医療」とする弁護側が激しい応酬を繰り広げた。

 弁護側は、周産期医療の権威とされる池ノ上克(つよむ)・宮崎大医学部長と岡村州博(くにひろ)・東北大教授を証人に呼んだ。2人は「被告の処置に間違いはない」と述べた。

 これに対し、検察側の立証は押され気味となった。検察側証人の田中憲一・新潟大教授は「はがすのが難しくなった時点で、直ちに子宮摘出に移るべき」と証言したものの、どの時点で子宮摘出を決断するかについては、「そこは医師の判断」と断言を避けた。

(2008年8月20日14時38分 読売新聞)



 読売新聞としては人間である「原告」と医療界の中の「被告」という形にしたいようだ。医療過誤の実例が「横浜患者取り違え」「都立広尾」「慈恵青戸」ですか。こういう医療過誤については誰も弁護しませんよ。なんで、「杏林割り箸」を入れないのかは不思議だけど(マスコミのいやらしさがでてるのかな)。で、これらを受けて事故調がスタート。
 そんな折にでたのが今回の事件だそうだ。

>その直後から日本産科婦人科学会など100近い団体が抗議声明を出したのは、「わが国の刑事裁判史上かつてない」(弁護側)状況だった。

 なんで、こうなったのか。読売新聞には理解できないのだろうな。上記3事件において、このようなことはなかったのだから、そこには何らかの違いがあるはずだ。それをあえて無視した記事をつくりたいのだろう。
 その後で、このような書き方をしている。

>これに対し、検察側の立証は押され気味となった。検察側証人の田中憲一・新潟大教授は「はがすのが難しくなった時点で、直ちに子宮摘出に移るべき」と証言したものの、どの時点で子宮摘出を決断するかについては、「そこは医師の判断」と断言を避けた。

 まるで、ゲームの解説のようだな。押され気味だとなんか都合が悪いのかね。考えるべき事は「何で押され気味なのか」ということだろう。記者の書き方ではまるで「白い巨塔」のごとく、偉い人(権威者)からの圧力があるかのようにもとれてしまうのは気のせいか?

 読売、必死だな(再掲です)

 まだ続きます。

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