行き先のない道しるべ

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<<   作成日時 : 2008/12/25 18:03   >>

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 年末で忙しくて、さぼってます。

 日曜日のNHKスペシャルを見た。まあ、考えていたとおりの番組でした。どうあっても「厚労省と医者(あえて書く)のせい」にしたいようだ。それ以外の要因については一切ふれていなかった。これでは、改善するはずもない。気になった点を書いてみる。医療者の皆さん、失礼な書き方をしますが、怒らないでくださいね。

医療はインフラ
 まあ、こういう考え方があることは否定しない。ただ、あの中での語り口は医師は「医療する機械」とでも言いたげな感じだったな。当の医療者がそのように考えることはいい。これを「今のところ」敵対関係にあるといってもいい、マスコミ・患者サイドが言っちゃあいけないだろう。
 百歩譲って、この考え方を是認したとしよう。医療がインフラならば、医師は公共財だ。この公共財を壊れるまで使っていい訳がない。壊れないように注意して、過酷な使用を避けるようにするのが、正しい使い方だと思う。

 ・連続勤務は8時間まで(もちろん、休憩あり)
 ・当直の後は休み
 ・これらを守った上で週休2日
 ・年休40日程度


等々、普通の労働者なら当たり前に要求すべき事象は医師に対しても認めるべきだ。これらを守らせるためには一体医師は何人必要なのだろう。


 ドイツのこと
 マスコミ関係者はドイツが好きだね。このドイツという国は、マイスター制度がある事でも有名で、いろいろな規制がひかれている。「開業制限」もその一つ。ある地域に必要な開業医数を設定して、それを上回ると開業できないという制度だ。もちろん、これはこれで機能するのだろう。しかし、そのドイツであっても無医村の問題は存在する(なぜかマスコミは無視するけど)。
 また、患者はまず家庭医に診察を受けねばならない。その後、必要なら専門医への紹介がなされることになっている。日本のように、自由に医療機関を選ぶことができない。このことを何故か沈黙するマスコミ。
 ちなみにドイツは日本より医師が10万人ほど多い(家庭医定年制があるのに)。にもかかわらず、開業者が救急も行うことになっている。医師数が多くても、開業者が救急を行うのだ。つまり、日本式の救急体制を引くためには、医師が全く足らないと言うことを意味している。仮に日本で開業医が救急をある程度受け持つことになったとしても、ドイツとは人数が違う。決して、「ドイツ並み」にはならないだろう。

 イギリスのこと
 ブレア氏の医療改革のことを挙げていた。それにより回復が見られるそうだ。何故医療崩壊が起きたのかについては全くふれられてなかったが。簡単に言えばサッチャー時代に医療費の締め付けを行い、医師が海外に流出したせいだ。ちなみにこの時の締め付けた医療費というのも今の日本の医療費水準よりも高い。イギリスでは医療者が切れて「医療崩壊」がおこったのに、日本の医療者はまだ踏ん張っている。これだけ見ても日本の医療者の方がすばらしいと思うのは私だけだろうか?
 また、医師の計画配置ということについては、まあ仕方ないのかもしれん。しかし、日本においては、この機能を医局が持っていた。この医局を目の敵にして、やってのけたのが「新臨床研修制度」だ。もちろん、この考え方は悪くない。すべての医師にすべての医療を知ってもらう。「総合医」育成のためには必要なことなのかもしれん。しかし、現実問題として、医局の縛りが無くなり、医局の持っていた医師配分機能が失われただけとなった。

 あと、どこだか忘れたが、患者は医療機関に見てもらうに際し、家庭医に登録してもらう必要があったところもあったと思う(イギリスかカナダだったかな?)。家庭医に登録してもらわないと医療機関にかかることすらできない。で、この登録には人数があって、家庭医一人に対して何人という縛りがあったと思う。この縛りは過酷な仕事から医療者を守るためでもあり、医療費の増大を防ぐという意味合いもあるのだろう。この縛りは医療者が縛られているようにも見えるが、患者側も縛られてる。日本とは違い、「医師が患者を選ぶ」ことができるからだ。そりゃそうだ。登録人数が限られる以上、「医療費を踏み倒す」「粗暴」なやつは登録しないのは当たり前だろう。
 また、医療者に振り分けられる医療費も制限があったように思う。年間のべ何人診察可能で、金額はいくらまでという制限だ。この制限を超えてしまうと、医療者は罰金を払うか、医療免許の停止があったように思う。それ故、この制限に達してしまった医療者は「バカンス」に行くことになる。もちろん、周辺家庭医に引き継ぎはするのだろうが、患者にとっていいこととは思えない。
 ご当地では、そのようなことの無いように、医療機関への受診を極力控えるというのが、患者に科せられた「義務」なのかもしれない。でなければ、いざという時に使えないから。日本でこのようなことをしようものなら、開業者が年度半分も行かずに「バカンス」に入ることになるかもね。で、他の開業医への引き継ぎが行われるとしても、その開業医もまたすぐに「バカンス」に入る。残る医療機関は病院だけだけど、直接かかることができない(紹介が必要)。さあ、どうしましょ。ただでさえ少ない日本の医療者に診療制限を加えるつもりか?まあ、医療者を守るためには必要だろうが。


 番組を見て思ったのは、日本より海外の制度がすばらしいということらしい。なら、すべてをその方式に移さないと意味がない。日本のいいところと海外のいいところを取ったすばらしいものができるとNHKは考えているのかもしれないが、残念ながらそうはならないだろう。今までの数少ない私の経験から言えば、

折衷案は、両者のいいところは出ず、両者の悪いところが出る事が多い。

海外の事例を紹介して参考にしたいなら、海外の悪いところを言わないとな。議論の進め方としては極めて卑怯なやり方といわざるを得ない。医療体制というのはアクセス・医療水準・コストの3つによって評価される。すべてがいいと言うことはあり得ない。アクセス・医療水準を上げれば、コストも上がる。コストを下げれば、アクセス・医療水準のいずれか(もしくは両方)が落ちる。イギリスは低アクセス型でアメリカは高コスト型だ。ドイツはイギリス型に近いだろう。
 実は今までの日本の医療体制というのは、諸外国のものと比べ極めて高度なレベルで調和していた。それを支えていたのは「医師の献身」だ。日本式医療体制という諸外国がまねできない世界一の宝物を持っていたにもかかわらず、患者いや日本国民すべて(医師も含め)がその価値を評価してこなかった。日本は遅れていると思いこんできたわけだ。その中で

司法が得体の知れない「権利」を発明し、マスコミが嘘さえ厭わず医師批判をあおる。

何故かこのことを番組では取り上げなかったな。まあ、テレビ局が言えることではないか・・・・・。そんなこったから、マスコミ批判が止まらないのにな。

 今回の放送で一番驚いたのは、厚労省の人が患者を支援する人に対し「コスト負担」について言及したこと。これはちょっとびっくりしたな。こういう事はもっと早い段階で言うべきことでしたな。そうすれば、国民がイギリス型をのぞむのか、アメリカ型をのぞむのかはっきりしただろうに。医師もまた、覚悟ができたろう。政治家・資本家はアメリカ型をのぞんでいるようだが。ただ一つ言えることは

過去の日本医療体制には戻らない

ことだ。このことだけは肝に銘じておく必要があるだろう。

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